それはさておき

脱力して生きていきたい

2025年6月7月の読書記録(小説とか漫画とか)

サブノーティカの海底探索がこわおもろすぎて本を読む時間が少なくなりました。

 

文芸

「さかさ星」貴志祐介

「このホラーがすごい」第2位。やっぱり貴志さんはホラーを書くべきだと思うのよ。
さかさ星 (角川書店単行本)
戦国時代から続く名家・福森家の屋敷で起きた一家惨殺事件。家には誰が持ち込んだのか、いわくつきの品々があちらこちらに置かれ、霊能者の賀茂禮子はそれが原因で事件がおこったのだと指摘した。親戚でありyoutuberでもある中村亮太は彼女と共に、さらなる惨劇を阻止するため事件の原因となった呪物の特定に挑む。数ある呪物の来歴を調べるうち明かされていく、恨みと情念の歴史。呪物の中は連綿と続く悪意がこめられているものもあれば、人間の助けになるものもあるという。積み重ねられた因果や因縁を紐解き、亮太は禍を阻止することができるのか-。

貴志祐介らしい緻密な謎解きと正統派ホラーが融合しており、呪物に絡んだ一族の因縁が物語の核となっている。600ページ超えの大作ながら緩急のつけ方がうまく、飽きや読み疲れは感じなかった。家族に降りかかる呪いの正体を複数の呪物から推理するミステリ展開に少年漫画的な構成「敵だと思っていた呪物が実は味方だった」が加えられ、意外性と熱量で引き込んでくる。

著者の“ひさびさの会心の一作”と評されるだけの重厚さと完成度。著者インタビューではすでに続刊の構想があるとの嬉しい報告も。

 

「漂流街」馳星周

第1回大藪春彦賞受賞作品。日系ブラジル人青年が中国人とヤクザを出し抜き、大金を手に入れようとするクライムノベル。
漂流街: 〈新装版〉 (徳間文庫 は 26-6)
845ページの長編にも関わらず、文章の簡潔さとテンポの良さであっという間に読ませる。裏社会の冷酷な空気をリアルに描写しており、性と暴力に満ちた世界の中で、不穏な登場人物たちが織りなす人間模様に引き込まれる。

主人公のマーリオは衝動的な性格を持ち、嘘と裏切りを繰り返す人物。共感しがたい一方で、その破滅的な生き方の引力はすさまじく、片時も目を話すことができない。救いのない展開ながら読後感が意外と悪くないのは、文体の読みやすさと感情を突き放した描写の絶妙なバランスのおかげかも。

物語のキーとなっているのが、マーリオのアイデンティティの分裂と葛藤を鮮やかに浮かびあがらせるケイ(日本の象徴)とカーラ(ブラジルそのもの)の存在。自身の血を忌避しながらも彼女たちからの愛を渇望するマーリオは、許しがたい反面、どこか悲しい存在であった。感情移入はできずとも強烈な個性と舞台設定の力で読む手を止めさせないところは、さすがの馳星周。

 

「犬」赤松利市

第22回大藪春彦賞受賞作。大阪でニューハーフ店「さくら」を営む63歳の桜と、店員である23歳の沙希。お互いに支え合い、満ち足りた日々を過ごしていたが、店に桜の昔の男・安藤が現れたことにより平穏な日常に影が差し始める。
犬 (徳間文庫)
赤松利市が描くロードノベルは、汚物と暴力が支配する地獄巡礼。一般的な旅情など遥か遠く、濃密な人間の狂気と業が描かれている。

安藤の金への狂気が物語の大部分を占め、記憶にも強烈に残る。異常な執着が桜をはじめ周囲の人間を破壊していく様子は正視に耐えないほど。暴力の標的となるのが、心が女性のトランスジェンダーである桜。繊細な女性らしさを持つ彼女に共感しながら読み進め、意外なタフさに体力的に“男”なのだと気づかされた瞬間にはハッとした。

テンポ良く展開し、読む手が止まらない構成であるが、安藤の強烈さがテーマを飲み込んでしまい、前半に描かれていたトランス女性の葛藤や年代ギャップ、将来不安という核心が埋もれてしまったように感じる。最後も著者の「こうあってほしい」という理想がにじみ出ており、やや綺麗すぎる印象が。

桜というキャラクターを通してジェンダーの問題やアイデンティティの揺らぎに真正面から向き合いながら、物語は暴力と異常の渦中を疾走していく。重たく、鋭く、それでも一気に読ませる力を持つ作品だった。

 

「肉弾」河崎秋子

第21回大藪春彦賞受賞作。ある出来事を境に父親と距離を置くようになったキミヤ。狩猟を趣味とする父親は無気力な毎日を送るキミヤを半ば強引に連れ出し、北海道の山へと分け入った。さらなる獲物を求め山奥へと足を進めた二人は、大型の熊に遭遇する。熊がキミヤへと狙いを定めたそのとき、野犬の群れがあらわれ熊に飛び掛かっていった。
肉弾 (角川文庫)
自然と人間の関係性を描きながら「生きること」の根源がえぐり出されており、読者を圧倒するほどの熱量と血がたぎるような荒々しさの中に生命への讃歌が響いている。

本筋とは別に印象深いのが、父親と息子の関係。息子の力を取り戻そうとする父親の不器用さが逆効果を生み、すれ違っていく切なさ。息子が父を理解するには人生の経験が足りないことも、家族への赦しに長い年月を要した経験のある私は深く共感できた。

本編の幕間で語られるのは、過酷な北海道開拓の現実、大熊が狂気へ至るまでの道、そして犬たちが野生化していく経緯。特に、人間の身勝手さが浮き彫りとなる犬たちのエピソードは怒りなくしては読めなかった。

全編に生きることへの問いに対する答えが感じられる作品であった。赦しに至るまでの時間の尊さ、そして自然と命に対する謙虚さを思い出させてもらった。ただし、動物が好きな人は辛い場面が多くある。

 

「らせん」鈴木光司

幼い息子を海で亡くした監察医の安藤は、謎の死を遂げた友人・高山の解剖を担当し、冠動脈から正体不明の肉腫を発見した。遺体からはみ出した新聞に書かれた数字は「リング」という言葉を暗示していた。(角川作品紹介)
らせん 「リング」シリーズ (角川ホラー文庫)
呪いという強い言葉ですべてを包括していた「リング」の解明編。前作も心霊系と思わせておきながら実はSFだったことに驚いた記憶があるが、よりSF色が濃くなっており、高山竜司の友人である安藤が彼の死に不信を感じ取ったことを発端として、事象一つひとつが科学的に紐解かれていく。

呪いやウイルスを遺伝学的に解明していくSFホラーならではの構成で、夜トイレに行けなくなる類の恐怖は思考を刺激する戦慄系の怖さに変化。呪いと科学を融合させた呪いシステム、遺伝子操作、新人類の誕生、さらには現実の社会現象「リングブーム」へリンクさせるふろしきの広げ方は圧巻の一言。

映画で観た当時は印象が薄かったが、原作を読むことで深い理解と感動を得ることができた。原作がある作品は、やはり読んでこそ見える世界があると再認識。前作の登場人物がしっかりと本作に絡み、「その後」が描かれている点にも満足。安藤の行く末は次作「ループ」で語られるのだろうか。

 

「贋物霊媒師 櫛備十三のうろんな除霊譚」阿泉来堂

贋物霊媒師 櫛備十三のうろんな除霊譚 (PHP文芸文庫)
軽薄な霊能者・櫛備と強気な助手・美幸が死者の心残りを紐解き、成仏へと導く人間ドラマ。事件に巻き込まれたサラリーマン、隣人に恋をした少女、共依存の兄弟、そして美幸。彼らの物語それぞれにミステリ的な仕掛けがあり、大きくはないがちょっとした驚きを与えてくれる。可もなく不可もなく、設定自体既出のうえ主人公たちに魅力を感じる場面もないのに掘り下げついては以下次巻、とされても追いかける気持ちがわいてくるはずもなく。ライトで読みやすくはあった。

 

「野良犬イギー」乙一

野良犬イギー【新装版】 (ジャンプジェイブックスDIGITAL)
ジョジョ3部のマスコット的存在・イギーが承太郎たちと対面する以前、SPW財団に依頼されたアヴドゥルに捕獲された経緯を描く前日譚。さすがに追いかけっこだけで1冊書くのは難しかったと見え、ところどころ漫画から引用したイラストが挿入してある。トコトコ歩くイギーが可愛いので、これはむしろあり。きちんと原作がリスペクトされていて、短いながらも満足度は高かった。

アヴドゥル主体で話が進んでいくのは想定外であったが、イギーに対する彼の真摯な想いはなかなか胸に迫るものがあり、またそれが3部につながる伏線にもなっていて目頭が熱くなる。ただまあ、人間を信頼してほしいと願うアヴドゥルの思いがイギーにしてみれば余計なお世話以外の何物でもなく、強引な捕獲を正当化する言い訳にも聞こえてしまったわけだが。

 

「偽りの春 神倉駅前交番 狩野雷太の推理」降田 天

アマゾンのお気に入りリストに入れたのが3年前。寝かせに寝かせてやっと読むことができた。表題作は第71回日本推理作家協会賞(短編部門)受賞。
偽りの春 神倉駅前交番 狩野雷太の推理 (角川文庫)
事件の容疑者たちを巧みに追い詰める狩野のしごできぶりが最大の見どころ。単なる犯人追及にとどまらず、それぞれの登場人物の感情や背景に触れたドラマが展開され、短編ながら読み応えは十分。

本作は倒叙ミステリと言われるジャンル。犯人の気持ちに寄り添いながら読み進めることになるので、狩野の冷静かつ執念深い捜査が際立つほど葛藤を感じてしまう。それでも、狩野の観察眼が日本の平和を支えていると思えば、その鋭さが頼もしい。最終話では常に対立関係にあった狩野の真の姿を垣間見ることができ、心が揺さぶられる感動的な締めくくりとなっていた。

ミステリの枠を超えて人間の本質に触れる一冊。犯人にも共感してしまう繊細な心理描写に一気読みさせられた。

 

「角の生えた帽子」宇佐美まこと

真夏に読んでしまったのだけれどね。
角の生えた帽子 (角川ホラー文庫)
秋の夜長にひとり静かに読むのにうってつけな怪談話が12話収録されている。単なる怪奇譚ではなく、それに巻き込まれる人間そのものが物語の中心に据えられており、日常と非日常が溶け合う一瞬を著者の感性で巧みに表現している。

家庭の中で起きる不和や男女間のもつれを題材にしたエピソードが半数を占めており、けっこうドロドロ。ミステリ的な仕掛けあり、ちょっとしたどんでん返しあり、女性の情念を軸とした物語が多いという点で読み手を選ぶかもしれないが、ポップな表紙から受ける印象とは真逆の大人向けの内容で私は読みやすかった。

 

「連続殺人鬼カエル男」中山七里

今月はkindleで中山七里フェアが開催。出版作の多くがUnlimited対象となっていた。
連続殺人鬼カエル男 (宝島社文庫)
共通点のない人々が猟奇的な方法で命を奪われる殺人事件が続発。犯人はいつしかカエル男と呼ばれ、市民を恐怖へと陥れていく。

キャラクターが際立っていて抜群に読みやすい。特に事件を追う刑事コンビの描写が秀逸で、冷静かつ的確な行動で古手川をフォローする渡瀬の有能ぶりが、読み手に爽快感を与えてくれる。黒幕の存在や容疑者の入れ替わりはある程度予測できたものの最後の一行にはまったく気づけず、見事に一本とられてしまった。

事件が社会に波及したときの人々の心理や暴動の経緯が巧みに描かれているのも見どころの一つ。事件が対岸の火事ではなくなったときの群集心理は殺人とは別の恐ろしさがあり、現代社会への問題提起を感じさせる。ただ、全体の構成には大きな影響を与えていないものの、警察署内での暴動シーンは少し長く感じられ、スムーズなドラマ展開の妨げになってしまっている印象。

総じて、人物描写と社会的背景がしっかりした物語。読み放題対象となっているうちに続編も手に取りたい。

マンガ

BANANA FISHを大人買い

手元に残していなかったバナナフィッシュを電子で買いなおした件。

やっぱり名作。ディノ・ゴルツィネは崇拝と愛が混同した作中屈指のめんどうくさい男でしたが、アッシュの能力の高さに周囲が恐れを抱いているときドヤ顔をきめたり、あれだけ拒否されていたにもかかわらず財産全部を貢いじゃったり、何だかんだでたまらなく愛しいやつでもありました。

アッシュが迎えた結末は、読んでいた当時より今のほうが納得できました。作者の吉田先生は読者がハッピーエンドを望んでいたことを承知されていたと思います。でも、多くの人を殺めた彼が生きる世界を許容できなかったのでしょう、たとえ雪山の頂上を目指すしかない運命だったのだとしても。アッシュの最期は不運であっても不幸ではありませんでした。だからこそ、この作品はこんなにも長く人の心にあり続けているのだと確信しています。

ただね、あの世否定論者の私でも、バナナフィッシュの世界でだけは存在してほしいと願わずにはいられません。いまアッシュのそばにはショーターがいてくれると信じたい、どうかアッシュを一人にしないでほしい。彼の孤独を救いたいと奔走した英二と同じ気持ちです。それでアッシュを何度もピンチに陥れていたことに気づいていたのかいないのか不明ですが、その一途な想いこそが救いでした。まあ、そんな感じでこの世にいるときほぼ保護者していたアッシュですから、身軽になったのをいいことに千の風になって渡米した英二のそばにいるかもしれません。

ちなみに、アニメは見ていません。岡田斗司夫さんも言っていた気がしますが、アッシュが洗練されていてきれいすぎるんですよ。ヘインズのTシャツにピチピチのGパンじゃないの? 少なくとも80年代スラム街のボスはパーカー着ないってば。完璧な肉体ときったない服装、粗野なふるまいと知性、国宝級の存在でありながら自分に価値を感じていない、相反する要素の共存がアッシュの魅力なのに、キレイな顔でキレイな服装されても普通でしかありません。

最後の図書館シーンだけはyoutubeに切り抜きがあったので見ちゃいました。クローズアップされた手紙には「My soul is always with you」の文字・・・日本語より破壊力高いやないかい。

世界中に涙の塩湖を作ってきたバナナフィッシュよ、永遠に。

 

悪魔の花嫁がkindle Unlimitedで全巻読み放題

いつから対象になっていた? まったくのノーマークでした。
悪魔の花嫁 1
この作品は義務教育に含まれているので読んだことのない人はいないと思いますが、簡単に説明をしますと1話完結のオムニバスホラーです。平凡な日常を送っていた人々の歯車がふとしたことで狂い、バッドエンドまたはサッドエンドを迎えるというのが毎話のセオリーです。

私は令和の今でも耽美・幻想ホラーのジャンルで「悪魔の花嫁」をこえる作品はないと思っています。というか、悪魔の花嫁でしか表現しえない世界観。それほどにシナリオもキャラクターも完成されているんです。狂言回しとして登場するデイモスという美麗な悪魔が美奈子という人間の少女に熱をあげている設定は、異種間恋愛を栄養源にしている令和乙女にもぶっ刺さるはず。さあ、めくるめく悪徳の栄えに酔いしれましょう。

特に私が好きな話をあげておきます。
「砂漠に堕ちた星」
悪魔の花嫁 2
アトランティスへと迷い込んだデイモスが主人公のお話。身体に蟲の卵を植え付けられ、徐々に命を喰いつくされていく恐怖に鳥肌が止まりません。

「オリンピアの媚薬」
悪魔の花嫁 9
アポロンの竪琴を火にくべ、すべての弦が切れる前に願い事をすれば叶うという。いざ自分が同じ状況になったときの参考として、大いに勉強になりました。

「眠れる愛」
悪魔の花嫁 14
人を生きながらミイラにする恐ろしい行為が描かれています。女性は怖いことを考える天才だ。

 

続巻と新刊

異獣堂奇譚(1)
帯コメントはなななんと京極夏彦先生。
異獣堂奇譚 1【電子版限定特典付き】 (MeDu COMICS)
幸せをもたらす使者であり、不幸の種でもある異獣を手に入れた人々のオムニバスドラマ。私たちがよく知っている幻獣たちが一風変わった特性で描かれており、オカルト・ホラー好きの好奇心を満たしてくれます。この本もっと話題になってもいいと思うんですよね。

霧尾ファンクラブ(1)
霧尾ファンクラブ(1) (リュエルコミックス)
著者は現ギャグ界のエース(だと個人的に思っている)地球のお魚ぽんちゃん。タイトルそのまま、霧尾くんに憧れを抱くおもしれー女二人が、いかに霧尾くんが好きであるかを斜め上の角度からクソ真面目に競い合う話です。ほのかに香るリリィフレグランスで、この先の展開が気になりすぎる。佐野菜見作品、和山やま作品が好きな人には特におすすめしたいです。

黄泉のツガイ(10)
黄泉のツガイ 10巻 (デジタル版ガンガンコミックス)
東の村を取りまとめているヤマハおばあの過去、東の村と西の村の関係、ユルが得るであろう「封」の力の秘密など、物語の核心に近い部分が大きく明かされました。ただ、10巻まで到達しているというのに脇を固めるキャラたちが強烈すぎて肝心のユルに魅力を感じていないんだよなあ、まだ能力に目覚めていないから仕方ないのだけれども。主人公に活躍という活躍をさせないまま10巻まで読ませる荒川先生の筆力は異次元。

ウスズミの果て(4)
ウスズミの果て 4 (HARTA COMIX)
引き続き、結晶病にり患した人間の脅威「断罪者」の発生理由を調査する宇佐に会うため、トー4第十三区画へ向かう小夜、イサミ、カノコ。いよいよ目的地も近くなり、主要通路の封鎖を解除できる中央制御等へと向かいます。新たな生存者の登場、小夜自身も知らなかった「永遠の子」の役割が明かされ、物語が新たなフェーズに突入する予感がいたします。人間がいなくなった世界のロボットが献身的に職務をまっとうする姿は健気の塊で、やっぱり涙腺がユルユルに。門番らしきクリーチャーとの激しいバトルシーンもあり、かなり読みごたえがありました。

デストロ016(6)
デストロ016(6) (サンデーGXコミックス)
もはや物語の目的を見失っており、たっぷりおっぱいとシックスパックの共存を可能にしている女子がパクパク食事する姿を眺めたいから自分で書いちゃうんだろうな作者さんは、ということしかわかりません。その気持ちには同意するから次巻も読むけれども。

しょせん他人事ですから ~とある弁護士の本音の仕事~(9)
しょせん他人事ですから ~とある弁護士の本音の仕事~ 9 (黒蜜コミックス)w]
思い込みが激しく、話を聞かないやっかいな人物を相手にする案件が片付いたかと思ったら、9巻では話をまとめられない依頼人が登場。繰り返し聞いても問題の要領を得ることができない中、何とかまとめようとする弁護士が精神的に疲弊していく様子がリアルに描かれていました。ドラゴン星川のような受け流す器用さも弁護士に必要なスキルなのかもしれません。

光が死んだ夏(7)
光が死んだ夏 7 (角川コミックス・エース)
ケガレが出てくる穴をふさぐには内側から閉じなければならない。方法は2つ、1つは人が向こう側に行って閉じること、1つはバケモノに閉じさせること。ヒカルとよしき、田中と朝子、2方向から作戦を実行し、それぞれ力を尽くします。すごく心を動かされる巻でした。ヒカルに対するよしきの強い思いを再確認できたこともそうなのですが、田中の異常なまでの自身に対する無関心さはなぜなのかと。イケメンは国の宝、作戦では「いのちだいじに」を徹底してほしい。すでに8巻が待ち遠しいです。