知恵袋に、こんな質問がありました。
「ニーアオートマタの小説を読書感想文に書くのはありですかなしですか」
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小学六年生が知恵袋を使う時代なんですね~驚き。
そして、その回答たるや、し、辛辣・・・笑
確かに「あり」か「なし」かを決めるのは先生なので、これは質問の仕方が悪かったです。
まあ、そこは六年生ですから仕方ありません。
私だったら迷うことなく作文しているところ、ちゃんと事前確認しているんですから、ある意味、真面目な子です。
質問者さんはただ素直に感動した自分の気持ちをみんなに共有したいと思ったのでしょう。
ただ、回答でも触れられているように、学校としても想定はせいぜいライトノベルまで、ゲームのノベライズは想定外だと思います。
一応、学習指導要領には「児童の読む図書については、人間形成のため幅広く、偏りがないように配慮して選定すること」とありますから広義ではアリと言えますが・・・苦しいですね汗
しかし! 本の指定がない以上、絶対に駄目ということはないと私は考えます。
大事なのは、先生に「あり」と思わせることです。
「なし」を「あり」にさせるほどの作文を書いて、「ぎゃふん」と言わせてやればよいのです。
そこで、ニーアの小説感想で先生を「ぎゃふん」と言わせるにはどうすればいいか、ゲーム好きの大人が真面目に考えてみました。
学校が読書感想を書かせるねらい
まずは、本を読み、感想を書くことでどのような力が育つのか、あげてみましょう。
1.読解力
読書感想文は、物語の流れ、登場人物の心情、作者の意図を自分なりに読み取り、言語化する作業です。「読んだ内容を理解する力」だけでなく、「行間を読む力」「推測する力」も鍛えられます。
2.表現力
読書感想文は、単なる要約ではなく「自分の感じたこと」を書く課題です。何を感じたのか、なぜそう思ったのか、どんな経験とつながったのか、こうした「自分の内面を言語化する力」は、あらゆる場面で役立ちます。
3.思考力
作品をただ受け取るだけでなく、「この行動は正しいのか」「この選択をどう感じるか」と考えることで、物事を多角的に見る力が育ちます。特に、批判的思考(クリティカルシンキング)は問題解決や判断の質を高める基盤の力として、現代の教育でも重視されています。
4.共感力
物語の登場人物の気持ちを想像することは、他者理解や共感力を育てる訓練になります。これから社会に出ていく子どもたちにとって、「自分とは違う価値観」に触れる機会はとても大切です。
5.文章力・読書習慣の強化
感想文を書くためには、導入、本文、結論という構成を考えなければなりません。論理的に文章を組み立てる力は、成長を増すにつれ重要な素養になっていきます。
つまり読書感想とは、ただ本を読んで感想を書く宿題ではなく、多面的な学習効果を狙った課題なのです。
作文の構成~起承転結を考える
上記に挙げた効果が感じられるような作文であれば、ゲームのノベライズであっても先生を納得させることができると思いませんか。
オーソドックスな構成は、こんな感じでしょうか。学習のねらいを考慮して起承転結を考えていくと、まとまりのある作文になるかと思います。
起:小説の簡単な説明(1と5)
承:印象的な場面・テーマを取り上げる(1と2と5)
転:現実の問題と重ねる(3と4)
結:自分自身の考えや感情を述べる (2と3と4)
枚数によっては承・転・結を繰り返します。
架空と現実の接点を探る
作文のはじめで、主人公たちの置かれている状況を簡単に説明します。
いつの時代なのか、登場人物たちはどのような立場なのか、何を目的としているのか、読み手があらすじをざっくり想像できるように述べていきます。ファンタジーですし、独特の世界観が伝わるよう簡潔にまとめるのは難しいかもしれませんが、がんばりましょう。
もっと難しいのは「転:現実の問題と重ねる」です。
ニーアオートマタの哲学性と現実社会をどう結びつけるかで、この作文の是非が決まると言ってもいいです。
物語は抽象的なテーマを扱っているように見えますが、実は現代の私たちが直面している問題と驚くほど地続きです。ヒントとなりそうなことを上げてみます。
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1.AIと人間の存在価値
ニーア、というよりAIやロボットが登場する物語には、「人間とは何か」「心とは何か」というテーマが普遍に存在しています。他作品ですと「攻殻機動隊」がそうですね。「囁くのよ、私のゴーストが」は有名なセリフです。
現実でも、生成AIやロボット技術が急速に進化し、人間の仕事はどうなるのか、意識や感情はどこから生まれるのか、人間らしさとは何か、いくつもの問いが社会全体で議論されています。
2Bや9Sの葛藤は、人間と何ら遜色ありません。彼らを見て、どう感じたのか。そこから現代のAI倫理や自動化社会の不安につなげてみるといいかもしれません。
2. 「意味の喪失」と現代の虚無感
最終的には機械生命体もアンドロイドも「目的」を失い、それでも何かにすがろうとする姿が描かれています。
これは現代の私たちが抱えるむなしさに通じるところがあります。たとえば仕事のための仕事、SNSでの承認欲求、ふと生きる意味を見失うこともあります。「目的を与えられないと不安になる現代人」という視点で話を広げていけば、自然と現実につなげられるはずです。
3. 戦争の連鎖と代理戦争の構造
アンドロイドと機械生命体の戦いは、次第に誰のための戦争なのかが曖昧になっていきます。
これは現実の代理戦争や情報操作、思想による対立といった構造をモデルにしていると言ってもいいでしょう。今の国際情勢とも結びつけやすいですが、小学生が扱うには少し重いテーマです。「戦う理由を知らないまま戦い続ける存在」を掘り下げるほうが共感できるかもしれません。
4. 他者理解の難しさと社会の分断
ニーアではアンドロイドも機械生命体も「相手を理解したい」と願いながら、結局すれ違い続け、破滅へと至ります。
これは現代のSNSでの対立や異文化・異なる価値観の衝突、コミュニケーションの断絶といった問題と重ねられます。「理解しようとしても届かないもどかしさ」は学生にとってもテーマにしやすい素材だと思います。感情を軸にすると、感想に情緒的な深みが増します。
5. 「生まれ変わり」や「やり直し」への願望
物語の最後には、「人は過ちを繰り返すのか」「それでも前に進めるのか」という問いが投げかけられています。
これは現実の歴史の繰り返し、個人の失敗と再生、やり直しへの願望といったテーマと結びつけられます。自身の経験と重ね語ることができたら、とても素晴らしい内容になります。
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以上、あくまで参考の一例ですが、インスピレーションの手助けとなれば幸いです。
他にもオートマタ単体ではないですが、前作レプリカントを含めたニーアシリーズの根幹には「正義とは何か」という問いがありますので、自分なりの答えを探すのもいいかもしれません。
物語を掘り下げる方法としては、マインドマップを作る手もあります。心に残ったエピソード、セリフを起点に自由に考えを広げていくと、新しい視点に気付くことができるはずです。
おわりに
ここまでいろいろと書きましたが、事はもっと単純です。
大切なのは、自分の気持ちを飾らず、素直に表現することです。
ゲームのノベライズでも一般文芸でも、断片を拾い上げ、あなたの抱いた思いが伝わるように書いていくのは同じです。
物語に感動している時点で、すでにあなたの心の内には吐き出したい言葉が紡がれているのですから。
ちなみに、ゲームのノベライズであることを無理に語る必要はないですよ。
ゲームが原作であることは物語自体に何ら関係のないことだからです。
それをわざわざ文字数の限られている読書感想で、文字数を無駄に消費して述べる必要はありません。
(じゃあ、元々の「あり・なし論」て何だったんだ)